困りごとを減らす。挑戦できるものを増やす。あさイチ『子どもが「発達障害かも」と言われたら・・・』を見ました。その2

2018年4月16日放送

NHK 朝8:15~ あさイチ『特集 シリーズ発達障害 子どもが「発達障害かも」と言われたら・・・』

 

前回の続きです。

 

児童精神科医 吉川徹さんのお話

 

モヤモヤ悩まれている親御さんは、たくさんいらっしゃる。

発達障害の特徴そのもの、つまり、彼らが持って生まれた、

 

・ものの見方とか感じ方

・たどりやすい考え方の道筋

 

というものは、大人になっても本質的には変わらない。

ただ、

 

『彼らのものの見方とか感じ方に合わせた育て方』

 

というものができれば、

 

・だんだんと困りごとが減って来たり

・挑戦できることが増えてきたり

 

といった、人生の中で乗り切っていける場面が増えていく。

 

それが分かってきたので、

 

・早めに発達障害だということに気が付いて、

・その特徴に合わせた子育てをしていこう

 

そういう気持ちを持った人が世の中に増えてきた。

 

早いうちに発達障害であるという可能性を把握しておいたほうが、

 

・子育てが無難になる。

・手堅い子育てができる。

 

発達障害の特徴に気づかずに子育てをすると、

子どもが今できていることよりも、年齢に合わせた子育てをしてしまう。

 

年齢に合わせた子育ては、発達障害の子供には合わない。

 

なんでできないんだ、みんなできるじゃないか!と怒ってしまう。

 

子どもが失敗の経験を積み重ねたり、

怒られたり、責められたり、という経験が増えてくると、

子育てがこじれてきてしまう。

 

グレーゾーンだということが分かって、子どもにあった子育てができていれば、

必ずしも、発達障害か否かということを、はっきりさせる必要はない。

 

だけれども、

 

・子育ての中で「足りないな」という感じがしてきた

・もっと一緒に考えてくれる人が欲しい、手伝ってくれる人が欲しい

・ものが足りない、もっと知識が欲しい

 

そういった、「何か足りない感じ」が出てきたときに、

医療機関を受診して、診断を受け、

それによって子育てに使える「資源」をたくさん確保すると良い。

 

地域によっていろいろと違いはあれど、一番相談しやすいのは、保健師さんだと思う。

 

どんな見方をしていけばいいのか。子どもが何ができているのか。

今できていることの、半歩先、一歩先を挑戦していく。

 

そういうことを意識していくと育てやすくなる、

ということを教えてもらえると、

子育てへのかかわり方が見極めやすくなると思う。

 

グレーゾーン、どんなふうに接したらいいのか

 

~ここで、ある親子(子どもは中学生で、小学生のときに不登校になった)の体験談が放送されました。~

学習に対する失敗の積み重ねが、不登校につながった。

それまで私たちは私たちなりに

何とか彼を伸ばしてあげたくて楽にしてあげたくて

「周りに追いつかせなくては」という方向で頑張っていた。

私たちのそういう姿勢が彼を苦しめてこんな状態にしたのかな、

ということがすごくショックで、

今でもその思いにとらわれると、本当に申し訳ない思う。

ある日、医師からの勧めもあり、通常のクラスから特別支援学級(障害種別ごとの少人数学級。一人ひとりに応じた指導)に籍を移す決心をする。

周りが理解してくれるようになったことで、子どもはしだいに明るさを取り戻していった。

 

子:勉強のスタイルも変わり、お母さんたちも僕のことを理解して

ずいぶん明るく学校に行けたと思う

 

母:肩の力がストンと落ちた

こんなにいい表情をするんだな、こんなに変わるんだなと感じた

 

~ここから再び、児童精神科医の先生のお話~

グレーゾーンだと言われただけで、

子育てに関する考え方だとか目標の設定の仕方をガラッと変えられる親御さんはそんなにいない。

グレーゾーンだという段階だと、どうしても「追いつこう」とか同じ年齢の子と同じ目標に挑戦しようとか思ってしまう。

これは仕方のないこと。

だけれども、もしできることなら、子どもが「何かできること」を目指していくんじゃなくて、

それを「やりたくなること」というのを目標に設定するような、

そういうかかわり方ができるようになると、

もう少し手堅く安全な子育て、というのができたのかもしれない。

ただ、その切り替えは、そんなに簡単なことではない。

 

グレーゾーンだという疑いを、

専門家が親御さんに伝えるときにうまくいかないと、

かえって不安が高まってしまう。

あるいは、それを否定するために、追いつこう、追いつこうと一生懸命になりすぎると、

育児の負担がより大きくなってしまう。

伝える専門家の側に、不安をかきたてすぎない、具体的な方法を伝えていく、

ということはとても必要なことで、そういう研修も広がってきている。

 

就学前と小学校に上がったあとで、利用できるサービスが違って来たり、相談先が違って来たりすることは多い。

小学校になると、教育委員会の中に相談センターがあったり、学校の中に支援教育のコーディネーターの方がいらっしゃったりする。

うまく地元の情報を集めるのが大事。

 

グレーゾーンだという言われる子どもたちは、できるかできないかだけでお話しをすると、

できることが多い。

だけど、できるけれども他の子どもの2倍疲れるとか、

できるけれども他の子どもの3倍時間がかかるとか、

そういうことも気づいてあげないと、

本人が疲れ切ってしまったり、

いろんなことが嫌いになってしまったり、

そういうことが起こる。

 

だから、できるかできないかだけに注目しない、ということがすごく大事。

 

大人になって、これから社会に出ていく本人に、グレーゾーンだということを伝えるかどうか、という悩み。

伝えるかどうかというのは、ゼロか1かではない。

こんなことは得意だけれど、こんなことは苦手だね、とか。

こういう場面ではこういうお手伝いがあると嬉しいね、とか、楽になるね、とか、生活の端々で伝えていく。

子どもが自分自身を見る見方と、親御さんが見る見方を、だんだんすり合わせていく。

ということは、普段からやっておいていい。

かなり小さい子どもにも言っておいてよい。

そういうことを積み重ねていって、こういうお手伝いが必要な人のことを、こういうふうに呼ぶんだよ、と段階的に伝えていく。

 

もうひとつ、親元を離れると、困ったことを相談するのは親じゃなくなる。

だから困ったことがあったときに、支援にたどり着きやすくなるような、キーワードみたいなものを持っていてほしい。

巣立ちのときに、餞別のように渡して、困ったときはこれを手掛かりにして、助けてくれる人や、必要な知識を探すんだよ、ということを伝えておくのも悪いことではない。

 

まとめ

 

【どういうタイミングで受診すると良いのか?】

・お父さん、お母さんが子育てをしている中で、何か足りないな、と感じたとき

・こじれの兆候が出てきたとき

 

好きなこと、やりたいことがどんどん出てきている→必要ない

嫌いなこと、やりたくないことがどんどん増えている→早めに受診する

 

【診断の目的】

・いろんな資源を手に入れるため

・周りの人に伝えやすくなる

・本人や家族が、考え方を切り替えやすくなる

 

【大事なこと】

発達障害かどうか、グレーゾーンかどうかよりも、

・こじれてないか

・人生の中で嫌いなこととか避けたいこと、やりたくないことが増えすぎていないか

・自信を失ってしまっていないかどうか

そこを見てあげることがとても大事。

 

嫌いにさせない。興味をもたせる。

年齢に合わせた子育てではなく、今できることに着目し、半歩先、一歩先を目指す。

グレーゾーンだと受け止めて、自分でできることを探していく。

本人にも社会で生きやすくなるよう、少しずつ状況を伝えていく。

 

 

つまり、発達障害なのか否かをはっきりさせるのではなく、

今できることを伸ばしてあげる、

苦手なことは、補助して上手くいくように誘導してあげる。

子どもの自尊心を傷つけず、ともに成長していこう、という姿勢こそが、

親に必要なことなのかなと思いました。

投稿者: うずピータン

40代ってもっと大人だと思っていた。 いまだに色々あがいたり挑戦したりしています。 ブログ始めて3年たちまして、ただいま48歳でございます。