先日、久しぶりに本屋さんに行きました。
ぶらぶら歩いていたら、栗原はるみさんの季刊誌「haru_mi」が発売されていました。
「haru_mi 2016年秋号 vol.41」
扶桑社 2016.9.1
45歳の私が学生の頃、テレビに出て料理の作り方を教えてくれるような人は、
だいたいが「ボン!キュ!ボン!」じゃなくて、「ぼん!ぼん!ぼん!」といった感じで、
割烹着か、微妙にフリルのついた花柄のエプロンをつけているような
「ザ・日本のお母ちゃん」といった雰囲気の方々でした。
そして、若い人に対して、「あらやだ、そんなことも分からないの?最近の人はダメね~」とでも言いそうな、こちらの手際がちょっとでも悪いとすぐ怒られそうな、そんなイメージの方々でした。
(あくまでも、私が勝手に抱いているイメージです。)
そんな中、彗星のように現れたのが栗原はるみさんでした。
彼女がなぜ、こんなに人気が出て、「はるらー」なる現象が起きたのか。
それは、
・当時、見た目が飛び抜けて素敵だった。「お母ちゃん」じゃなくて、「ママ」っぽかった。
・エプロンも素敵で、そんなエプロンをつけてテレビに出ている人はいなかった。
・質問しても怒られなさそうで、いつもニコニコしているイメージだった。
・普通の主婦でも、食器にこだわっていいんだ、ということを知らしめた。
・「暮らしを楽しもう」というスタンスを持った、初めての料理研究家だった。
・普段の料理だけではなく、掃除、食品の保存方法、お弁当のアイデア、いつもの料理で人を招こう(パーティはお金持ちだけのものじゃない)という提案などなど、今では当たり前のようにあるテーマだけれど、当時このようなテーマを打ち出してきたのは栗原はるみさんくらいしかいなかった。いたとしても、アート系とか、ちょっと普通の主婦とは違う世界の人だった。
というように、暮らしを楽しもうと提案した料理研究家は、もしかしたらそれまでにもたくさんいらしたのかもしれませんが、
私たちの世代に本当にマッチしたのは、栗原はるみさんが初めてだったと思います。
そして私は、「すてきレシピ」の創刊号が発売されたとき、さんざん迷った挙句、結局買わなかったんです。
しばらくして、今日買おう!と思ったときには、もう売り切れていたという…。
2号は今でも持っているくらい、大事にしています。
でも創刊号は、私にとっては、幻の1冊となってしまいました。
それが!
今回の秋号に、その創刊号も付録でついていたんですよ!
ぎゃー!!絶対買う!
もう、中身も見ないで即買いました。
ああ、嬉しい…。20年越しの願いが叶いましたです。
この当時の雰囲気は、今のカジュアルな感じとはまた違いますので、ぜひ一度見てみてください。
さてさて、私は栗原はるみさんに本当に憧れていて、子どもが産まれる前は同じ美容院に通っていたほどでした。
どうしてそんなに憧れているかというと、見た目もさることながら、考え方が素晴らしい女性だなぁと思っているからです。
つらくなって「やめようか」と相談したら、
「一年やりました、なんて誰も認めてくれないよ」と諭されました。
やめることは簡単です。
「すみません、もうやめます」。
そう言ったとしても明日から世の中回ります。
誰も他人の人生のことなど気にかけてはいない、
誰かが人生をかわってくれるわけではない。
自分の力で可能性を見出さないと。
仕事をすることなど考えてもいなかった私ですが、
いつのまにか人に認められるまでやらないと駄目だと思い始めていました。
このまま中途半端にしていると、誰も認めてくれないと気付いたのです。
仕事で一番大切なのは継続すること、
惰性ではなく楽しく続けることだと今では思っています。
(『日経ウーマン』2001年11月号『妹たちへ』より)
夫に対しては「どんなことがあっても私を守ってくれる」という安心感があります。
でもそれは一朝一夕でできた信頼感ではありません。
つらいことも、29年間の結婚生活のなかでいっぱいありました。
夫との間で、教育方針などでぶつかったこともありました。
でも、どこか価値観が一緒ならそこを大切にしようとやってきました。
お互いにいやなことは切り捨てていかないといい関係は保てないし、
相手の気持ちを無視して、「大事にしてよ」と言ってもうまくいきません。
(『日経ウーマン』2002年1月号『妹たちへ』より)
結婚して32年になりますけど、家事をする自分を楽しくしてくれるのは、やっぱり自分なんですね。
だから、人にはあまり期待しないことです。
家のことをきちんとやったからといって、ほめてくれたり、心が弾むようなことを言ってくれるだんなさんは、そうそういないでしょう。
期待してると「どうせ、ほめてもくれないし」だなんて言いたくなっちゃう。
だから、相手がどんな反応をしようと1人で楽しめるようにしておくって大切なことだと思います。
「ああ、早起きするのはイヤだな」と思っても、どうせ起きなくちゃならないんだから、何か楽しいことを見つける。
「早起きエプロン」を用意して、「このエプロンをすれば、パッとさわやかな気持ちになるのよ」と思ってしまえばいいじゃない。
要は、自分をどうやって前向きにしていくか。
そこを人に頼ってしまってはいけないと思うんですね。
(『婦人公論』2005年5月7日号『第一線の食通をうならせた“主婦”の味』より)
すごくないですか?
ご本人はご自分のことを“普通の主婦”っておっしゃってますけど、このような考え方ができる人って素晴らしいと思います。
我が家はいつもいいことばかりではありませんし、相手にムカムカすること、ひどいなって思う事、たくさんありますけど、いつもはるみさんの、「価値観が一緒ならそこを大切にしよう」という言葉が胸に浮かび、心を静めるようにしています。
(もちろん、相手も私に対して我慢していること、たくさんあると思うんですけどね。)
栗原はるみさんのように、芯の強い、しなやかな女性になりたいと、心の底から思っています。