お金を払わなくとも、住民は守られる。大家の世界は、知っておかなければいけないことがたくさん。

鍵穴ふさいで家賃滞納の住民「追い出し」、家財道具処分…大家に慰謝料支払い命令

2018年3月23日 弁護士ドットコム

この記事は、3月23日のネットニュースに載っていました。

3ヶ月分の家賃を滞納した住民の夫婦(ともに56歳)が、

大家に鍵穴を加工されて家に入れなくされ、

1年近くホームレス状態になってしまった。

その間、家財道具も大家に勝手に処分され、

写真やビデオ、手紙など、思い出の品もすべて失ってしまった。

その精神的苦痛に対する裁判が3月22日の東京地裁で開かれ、

慰謝料など約180万円を夫婦に支払うよう、

大家に対し判決がくだされた。

夫婦の家賃滞納の理由は、会社の業績不振であったという。

原告の夫妻は、当初、警視庁葛西署と小松川署、警視庁(本庁)に相談したが、

証拠もなにもないということで門前払いされ、有効な助言は得られなかった。

弁護士によると、物的証拠がないなか、よく裁判官が踏み込んでくれたという印象であり、

被告側の証言の信ぴょう性が高いということが認められた裁判であったという。

また一方で、賃貸人(大家)が滞納家賃を自ら取り立てる際の規制が十分に整っていない点を指摘している。

家賃を滞納された大家は、どうしたらいいのか。

「大家さん」というのは、賃借人に部屋を貸して、その代金を頂戴して収入を得ています。

でも今回のように、その代金が支払われなかったら、どうしたらいいのでしょうか。

お店でガムを買うときは、たとえその金額が100円だろうと、

支払わないで内緒で食べちゃって、なかったことにしたり、

お店の外に持ち出したら、犯罪ですよね。

なのに、不動産賃貸の場合、1ヶ月代金を支払わなくても、犯罪にならないのです。

なぜなら、「賃貸借契約」というのは、「継続的な契約関係」であり、

売買契約のような一回的契約よりも高度な「当事者間の信頼関係」を基礎としているから、なんですって。

つまり、

「まぁまぁ。一度引っ越して来たら、普通は2年以上、そこに住むでしょ?

お互い長い付き合いになるわけなんだから、

家賃を滞納されても、

そこは何か事情があるんだろうな~、

〇〇さんも大変だな~、

って、察してあげなよ。

振り込むの、忘れただけかもしれないよ?

ここでキレて、印象悪くしちゃったら、付き合いづらくなっちゃうよ?」

ということを推奨しているわけです。

色々調べてみると、「3ヶ月分賃料滞納」した場合、

「当事者間の信頼関係を破壊した」とみなされるようです。

(しかし法律上、明文化されているわけではない)

・・・なんじゃそりゃ!

しっかり決めてくれよ!

と思ってしまいますが。

一方、今回のケースのように、滞納しているから賃貸物件の鍵を変えたりして住人を追い出すことは、

法律上、許されない行為であり、

また、たとえ入居時に交わした契約書に「荷物を廃棄されても異議がない」と書いてあっても、裁判所は損害賠償を命じるそうです。

大家さんは、弁護士を立てて、法律上の手続きをたくさんの時間とたくさんの費用をかけて行うこと。

これが正統な闘い方なのです。

しかし、たとえ訴訟を起こし、大家の望む判決が貰えたとしても、

そこで終わりではありません。

訴訟手続きが完了した後で、

強制執行の手続きを行うのです

そこに係る費用として、

弁護士への着手金

建物の明け渡しに対する弁護士への報酬

滞納した家賃の取り立てが成功したら、それに対する弁護士への成功報酬

裁判に納める各種料金

強制執行申立の際に執行官に納める予納金

強制執行業者、執行補助者に支払う強制執行費用

などがあるそうです。

なんと、強制執行は、国が負担してくれるわけではないのです。

大家が支払わなくてはならないのですね。

まったく気が遠くなる話です。

調べれば調べるほど、

管理会社の選定

入居者の選定

しっかりした保証人をつける

というのは、やはり賃貸業にとって、重要なポイントなんだなと思いました。

人を会社や職業や国籍で選ぶな、というのはもちろんそうなんですが、

でも、病気を治すときに、片っ端にお医者にかかるわけにはいかないのと同様、

どこかで自分なりの基準値をもたないと、こっちがやられるな、

と身震いしたニュースだったのでした。

投稿者: うずピータン

40代ってもっと大人だと思っていた。 いまだに色々あがいたり挑戦したりしています。 ブログ始めて3年たちまして、ただいま48歳でございます。