月に1回、『5時に夢中!』の木曜コーナーで、新潮社の中瀬ゆかりさんが、
その月のお奨めの本や映画を紹介してくれます。
2018年4月は、以下の3本でした。
関脇:『モリーズ・ゲーム』(映画)
中瀬さんは、主演のジェシカ・チャスティンが大好きで、この映画に興味を持った。
ちなみに去年観た映画では、同じくジェシカ・チャスティン主演の『女神の見えざる手』が一番面白いと思っている。
トップアスリートだったモリー(ジェシカ・チャスティン)は、ケガが原因で引退する。
その後、高額ポーカーの経営者へと転身するが・・・。
実在の人物、モリー・ブルームの栄光と転落を描いた作品。
2014年に出版した自叙伝を原作としている。
今年のアカデミー賞脚色賞ノミネート作品。
ポーカーが分からなくても、そのスリリングさは観ている人を惹きつける。
モリーが力強く生きる姿に、心打たれるものがあった。
大関:『きげんのいいリス』(書籍)
トーン・テレヘン著 長山さき訳
トーン・テレヘンさんはオランダのお医者さん。
2年前『ハリネズミの願い』という同じ著書の本が、本屋大賞・翻訳小説部門1位を受賞。
主人公はブナの樹の上に暮らす、心がすごく優しい、忘れっぽくて機嫌のいいリス。
そこに、知っていることが多すぎて頭の重いアリや、
自分の吠え声が怖くなったライオンなど、
いろいろな動物が、相談にくる。
そのやり取りがとても哲学的で、みんなが持っている悩みが凝縮されている世界。
必ず自分の分身が見つかる。
とても不思議な、かわいい、楽しい、深い物語。
悩んでいる友達へ、プレゼントにも最適。
横綱:『疾風の勇人』(漫画)
大和田秀樹 著
池田勇人
「貧乏人は麦を食え」「所得倍増計画」
大蔵省の次官から政治家に転身し、やがて総理大臣として活躍する池田勇人の物語。政治漫画。
舞台は、戦後1947年、GHQ統治下の日本。
復興財源をかきあつめる日々を過ごしていた大蔵省の次官の池田勇人が、
旧知の運輸省の次官、佐藤栄作とともに、白洲次郎に招かれて首相の座を追われたばかりの、
吉田茂邸を訪れる。
吉田が二人を呼び寄せた目的は、党内基盤がぜい弱な現状を打破するために、
高い政策運営力を持った精鋭たちを結集した吉田学校を作って、
マッカーサー率いるGHQをなんとか日本から追い出し、独立を自らの手で果たすということにあった。
そしてその吉田の志に深く共感した二人は、吉田学校に入って、官僚を辞めて、政治家への転身を決意する。
戦後、どういうふうに日本がGHQを追い出して、自分たちで独立を果たし、
そしてそこからどういうふうに経済復興していったか
1955年体制、今の自民党が誕生するまでの政治が、すごくよく分かるようになる。
全7巻。これさえ読めば、政治通になれる漫画である。
ちなみに、大関に出てきた「女神の見えざる手」ですが、
この映画は、優待生活で有名な桐谷さんも2017年の第1位に挙げていました。
巧妙な戦略を駆使して政治を影で動かすロビイストを描いた映画だそうです。
今度、ぜひ観てみたいと思います。