ありがたいことに、それからもいくつかお仕事をいただきました。
アイコンを作成する仕事、ポイントがたまるよ!というバナーをいちから作成する仕事。
リサイズの仕事も再びありました。
リサイズのお仕事なんて、もう何度かやっていれば余裕じゃない?と思っていたのですが、毎回初めてのことばかりで、あれこれネット検索しなければ思うように進めることができません。
そして、憧れの在宅仕事を実際に始めてから、私はあることに気づきました。
私の性格、色々と問題があるよね、って。
まず、それまで私は自分のことを、ながら族だと思っていました。
学生時代はシーンとしている中で勉強をすることができず、ラジオや音楽をイヤホンで聴きながら作業したり、わざわざドトールに行って喧騒の中で作業したりしていました。
でも在宅で仕事を始めてから、とにかく音がうるさくて仕方ありません。
好きな音楽も、好きなドラマも、好きなバラエティも、すべてがうるさい。
静かでないと集中できない。
こどもの「まま~!」と呼ぶ声に、今集中しているのに!と怒りがわく。
「仕事中は話しかけないでっ!(幼稚園の)延長に入れるよっ!」って怒鳴ったこと、何度もあります。
思い出しても、胸が痛いです。
バナーを作成していると、1pxにこだわるのが大事になってきます。
文字を大きくしなければならなくなってしまったから、そうすると余白に○pxの差が出てくる、とか。
計算しながら、ちょっとずつマウスを動かしていきます。
そんな感じで作業に集中し、頭の中が数字でいっぱいになったときに、「ママー!○○が、ぶった~!!」と子どものケンカが勃発。
その、キーン!という音で、いっぱいになった思考がパーン!と破裂。
それまで考えていたことが、全部散り散りになります。
「うるさいっ!人の仕事、邪魔すんなっ!」
たぶん、そういう感じのこと、言っていたと思います。
・・・だいたい、何が“仕事”なんでしょうね、偉そうに。
ちょっとのことも分からずに、いちから検索して調べなければできないペーペーのくせにね。
誰に頼まれたんでもない、自分が好きで引き受けている作業なのにね。
ある日、夫と子供だちが、仲良く1階で遊んでいたときのこと。
うちは古い建物なので、戸は丁寧に閉めないとピシャンッ!という音が響き渡るのですが、遊んで興奮した子が、つい、スパーンッと閉めてしまいました。
このとき引き受けていた仕事は、最初にちょっとわけが分からない仕様書を渡されており(まったく違うことの書かれた、2枚の仕様書をなぜか渡されていた)、どうも広告会社の担当さんとクライアントの意思疎通があまりうまくいっていない案件を丸投げされた感じで、私としても混乱の最中でした。
落ち着いて、何を求められているのか考えよう、そう思いながらパソコンに向かっていたのですが、ピシャッという物音で、私の張りつめていた神経がブチッ!と切れてしまいました。
「ちょっと、今、すごい勢いで戸を閉めたよね???なに?何かの嫌がらせ???今、仕事してるって言ったよね?????」
私の剣幕に、家族が引いているのが分かりました。
言いながら、自分で「あぁ、私、もう在宅の仕事は止めたほうがいいな。」と実感していました。
だって、この日は日曜日。
小学校も幼稚園も会社もお休み。
そんなときに家族と過ごさないで、引きこもってパソコンに向かってる。
それでも私を責めずに、楽しく遊んでくれているのに。
家族を怒鳴り散らしたりして、私、何をやってるんだろう。
この仕事を始めるまでは、遊ぶ子どもの横でニコニコとパソコンに向かう自分を想像していました。
「ママー」と呼ばれたら、「な~に?」って答える、そんな日々を送ってると思っていました。
でも、私はそれができない。
これからは在宅じゃなくて、外で修業したいな…。
ふと、そんな考えが浮かんでいました。
このとき44歳。
就職なんてまず無理なのは最初から分かっていたけれど、
パートなら、何かあるんじゃないかしら。
それから何ヶ月もパートを探す日々が続くことになるとは、このときは思ってもいませんでした。