敵は思いもかけないところから、やってくる。いま、屋根が危ない。

ある日、突然ピンポンがなった。

 

ある、夏の昼下がりのことです。

ピンポンが鳴ったので、インターフォンを覗いてみると、土方のお兄さんが立っています。

最近、この辺では電柱の入れ替え工事が長いこと行われていまして、

その関係で何か用があるのかな?と、直接対応することにしました。

 

「あ、こんにちは!あのですね、俺ら向こうの〇〇さんのところで外壁工事をやってる者なんですけどぉ」

 

あぁ、なんだ、お宅も外壁工事をどうですか?系のセールスか。

 

速攻断りを入れようと思ったところ、

 

「こっちの先に、コンビニがあるじゃないですかぁ。」

 

・・・はい?

 

たしかに、ありますなぁ。

 

なになに、コンビニのトイレがいっぱいだから、お手洗い貸してくれとか、そういう用件?

 

「で、俺ら、車に乗って昼飯買いに行こうとしてたんすよぉ。」

 

・・・うん。

 

「で、みんなで、『あれ?もしかして、この家の人、気づいてないんじゃね?』ってことになりましてぇ。」

 

・・・・・・・・・・。

 

話が見えな過ぎて、(話し方もバカすぎて)、事の次第が確認できるまで黙っていようと思っていたところ、

 

お兄さん「あの~。(日本語)分かります?こ・の・さき・に、コ・ン・ビ・ニが、ある、じゃないっす、かぁ~!」

 

私「・・・はい、コンビニありますよね。」

 

お兄さん「(ほっ。痴呆でもガイジンでもなかった)ですよね!でね、そこに昼飯買いに行ったんすよぉ。」

 

私「(だからなんだよ。という目)」

 

お兄さん「(ちょっとイラッとした感じで)で、『この家の人、分かってないんじゃね?』ってことになって、お前知らせてこいってなったんす。」

 

私「・・・えーと…。何をお知らせに?」

 

お兄さん「(話しが通じたので、嬉しげに)ちょっと、ちょっとこっち来てもらって、いいっすか?さーせん!」

 

と、道路まで出て、我が家の屋根を指さします。

 

お兄さん「ほら!あそこ!ちょっと亀裂が入ってるの、分かりますか?」

 

私「うーん…。(老眼なんで)分からない…。」

 

お兄さん「あ、ちょっと待ってくださいね。今、撮影するんで。」

 

と、デジカメを取り出して、カシャッと撮影し、患部を拡大して見せてくれました。

 

ほうほう。言われてみれば、縦に亀裂が。てか、これを亀裂というのか、元々のものなのか、私はサッパリ分かりませんが。

 

お兄さんいわく、こういったものは経年劣化で仕方ないもので、分かりやすくいうとネジが緩んでいる状態。

 

これをこのまま放っておくと、雨漏りの原因となり、大きな台風が来たりしたら、屋根自体が破損の可能性もあるとか。

 

ほほー。

 

だがしかし、それが本当のことで、お兄さんが善意のいち職人としてアドバイスをくれにきてくれたのか、

実は悪徳業者で、朗らかなバカを演じて騙しにきたのかは、今この段階では分かりません。

 

なので、

 

私「まぁ~。そうなんですかぁ。こわ~い。でもここ、賃貸なんでぇ。今度、大家さんに言ってみまぁす♪(はあと)」

 

と、クネクネしたおばさんが、朗らかにウソをついてみます。

 

お兄さんも朗らかに、

 

「そっすか!ほんと、早めに大家さんに言ったほうがいいっスよ(^^)それじゃ、失礼しまっス!」

 

と礼儀正しく帰っていきました。

 

本当に善意の業者なのか。ネットにある、詐欺の事例。

 

で、まぁ、いちおうこういうことがあったと、物件管理でお世話になっている人に電話したところ、

 

「ばかだなぁ。そんなの、詐欺だ!詐欺!」

 

と、まったく取りあってもらえませんでした。

(状況を見に来てもいない)

 

まぁ、素人の私でも、詐欺だろうなぁと心の半分は疑っているので、

その人の態度に納得する部分もあったりするのですが。

 

でも、直に「屋根が危ない」なんて言われたら、気になるし、

不安になるじゃないですか。

 

なので、とりあえずネット検索してみることにしました。

 

すると、出るわ、出るわ。

 

ある日の昼下がり、偶然(近所で工事をしている)を装い、突然のピンポンから始まるところは、まったく同じパターンです。

 

そして、屋根を上らせてくれといって、写真やビデオをとり、家主に見せる。

 

しかしこの画像は、実は事前に用意した別の壊れた屋根のものであった。

 

そんなことを知らない家主は、すぐにでも直してくれと、法外な金額を払うことになってしまう。

 

とか、

 

近所で工事をしているついでに、1000円で直しますと言いつつ、

 

実際に施工してみたら色々壊れている、雨水が漏れていると、あれこれと追加され、

 

ついには同じく、法外な金額を払うことになってしまう。

 

とか。

 

新聞やテレビのニュースでこんな記事を見ても、「ふ~ん」とどこか他人事だったりしますが、

 

実際に突然ピンポンされて、あなたの家の屋根が危ないなんで言われたら、ちょっとパニックになってしまう気持ちはとてもよく分かります。

 

私たちのほとんどは、建築に関して素人ですもんね。

 

このようなとき、いったいどう対処したらよいのでしょうか。

 

予防するには、自分で学ぶしかない。

 

一つ言えるのは、そもそも知らない人を屋根に上らせないこと。

 

そして点検、修理してもらいたいという気持ちが芽生えたら、

 

ピンポンとは違う業者を探し、依頼すること。見積もりをとってもらうこと。

 

きっかけは向こうからやってくるにせよ、これを良い機会ととらえて、自分で学ぶことが重要かと思われます。

 

そして周りに建築関係に詳しい人がいればそれがベストですが、

 

普通の主婦の人でも、似たような経験がある人もいて、

 

世間話のついでにちょっと聞いてみると、ためになる話がポロポロ出てくるかもしれません。

 

突然ピンポンを押した相手がどんなに誠実そうでも、その心の内や会社としての業績は分かりませんから、すぐに話に飛びつかないこと。

 

年を重ねれば重ねるほど、甘い話や「いますぐ対策しないと大変なことに!」系の煽りを受けやすくなりますので、

 

敵にナメられないよう、財産(お金だけじゃなくて、家族や自分の健康や暮らしそのものなど)を守っていかなくては。

 

改めて気を引き締めたいと思う出来事だったのでありました。